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地雷小説「私と執事のお茶会」

地雷小説第3段!!

今日のお題は「執事」!

タイトル「私と執事のお茶会」



「私の執事になりなさい」

自分でも何を言ったのだろうと後悔した。

「はっ?」

夏の日差しが校舎を越して私と彼の頭上を照り付ける。
額にはじわじわと汗が浮かびあがり、化粧をしてこなかった顔を静かに流れ落ちていった。
体の中心から熱いものがこみ上げるように、ジワジワと体温が上昇していることは、もうもうと蒸していた頭でも分かった。
だけどそれだけじゃない。
それだけが私の顔や頭を熱くしている理由にはなっていない。

「おま・・・・執事って・・・」

目の前の彼はどう答えたらいいのか、それとも変なことを言い出した同級生を白い目で見ればいいのか迷っているように、頭を手で掻いて悩む素振りをしている。
それは当然だ。言った本人も過ちを認めているのだから。

「告白・・・なのか?イヤ、でも...ホントに.....」

そうこうしている内に真剣に悩み始めてしまった。
考えるようなことを言った私も私だが、それを真に受けて考えている彼も彼だ。
こんな暑い中で延々と考え始める。
一向に答えてくれない苛立ちか、もしくは暑さで生まれた苛立ちなのかは知らないが、『どうなのよ!?早く答えなさい!!』と叫ぼうと口の中に空気を貯めた時、彼の眼と合った。
黒い、まるで街灯の着いていない夜道のような暗さを持った瞳は、私を吸い込むように見つめてくる。

「OK、お前の執事になるよ」

冗談半分なのか、それとも本気だったのか、だけど決してけなしてはいなかった。
そう言った彼の顔はなぜが嬉しそうに笑っていた。

この日、

私は執事を手に入れた。





「なんでセバスチャンって言うのかしら?」

「はっ?」

高校受験も迫ってきた冬、白い雪が空から降り始めた午後、美術部の先輩も来なくなった部室に残っていた私は、鍋に水を入れている彼に尋ねた。

「なんで執事ってセバスチャンって名前が多いのってこと。マンガでもゲームでも映画でも…「執事」と名のつく者は基本的には「セバスチャン」じゃない?」

「お前は世界のセバスチャンさんに謝れ」

呆れたように言うと、彼は美術室に置かれた、というよりも彼が持ってきたガスコンロに火を起こした。
小さな鍋を置いた後、私の方を振り向かずに隣に置いてあったビニール袋に手をかける。
私の執事は最近少し冷たい。やはり三カ月も経つと仕事に慣れてしまって手を抜くのか?

「ちょっと、私が話してるんだからこっち見なさいよ。あなた、最近執事として手ぇ抜いてない?」

目の前に置かれたキャンバスから顔を後ろへと伸ばし、私は手に持った筆でビッ!と彼の背中を指した。
そう、執事(バトラー)たるもの主人の話はちゃんと顔を向けて聞くものだ。
しかし彼はやはり背中を向けたまま私に答える。

「手を抜いてたら、今お嬢様にお出しするお茶の準備なんかしてねぇですよ」

そう言いながらビニール袋から糸の先に袋がぶら下がった、いわゆるティーパックを取り出して鍋にほおり込んだ。
彼曰く「お嬢様のお口に合う品」ということ。大きなお世話だ。
ティーパックを鍋に放りこんだ後、ようやく手が空いたのか彼はクルリと体を向けて一つ、大きなため息を吐く。

「それよりその絵、完成すんの?」

何とも興味なさそうに聞いてくる。
むっとなった私は大きな声で彼に言った。

「ご心配には及びません。絵は順調に仕上がっていますから!」

事実、絵の進み具合は順調である。
今度のコンクールに出展する絵はキャンバスの中でしっかりと描かれている。
夜な夜な動き出して逃げだすことがなければ間に合うだろう。
ていうかそんなことを聞いてくるなんて・・・全く、主人の仕事の状況を把握しているのも執事の仕事ではないのか。
ていうかお茶はまだなの?上着を羽織っているとはいえ、暖房のない部室は容赦なく体温を奪っていってる。

「ちょっと?お茶はまだ出来ないの?」

たまらず彼に聞いてしまった。だけど彼は頭を掻いて面倒くさそうな顔を私に向けた。

「もう少し待てって。今煮立ててるとこなんだから」

そう言うとすぐにコンロの方に顔を向け直す。
いつもならもう出来てる頃なのに…まったく何をのたのたと。
今まで頭を支配していた集中力は彼と話していたらすっかりと飛んで行ってしまった。
私は筆を足もとのバケツに入れ、椅子の背もたれに体を預けて伸びをした。

私が絵を描いている間に彼がお茶の準備をする。
それが私と彼の放課後でのいつもの光景であった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


彼が執事になった翌日、誰もいない美術室に連れて来た時はまだ暑さがじわじわと部屋に残っていた。

『なに?おまえ…美術部だったの?』

『同じクラスでしょ?それくらい知ってなさいよ』

『知るかよ。いくら二年だからってあんま話したことないんだから』

―私は喋りたかった―

『受験で先輩がいなくなっちゃって私一人なの』

『んじゃぁ何?ぶっちゃけ勧誘だったの?』

『・・・そ、そうよ』

―違う、そうじゃない―

『なに?もうやめるのかしら?』

『いやそれはないよ。「執事になる」って言ったんだから約束は守るさ?だけどさぁ・・・俺絵なんて描けないぜ』

―少しでも、私の傍にいてほしかった―

『あなたにはそれは求めないわ。言ったでしょ?「執事」にならないって?私が気持ち良く絵が描けるようにするのが執事の仕事よ』

『えッ...パシリ?』

―少しでも長く話したかった―



それから、放課後に私が絵を描いて、彼がお茶を準備する日常が始まった。


『ホイッ、疲れたろ?これ飲んで一休みしろって』

『ありがと・・・ってこれ只の缶コーヒーじゃない!?執事ならお茶を入れてよ』

『おま...ッヒトの120円をあざ笑うかのような・・・』


―なんで私は彼にあんなことが言えたんだろ?―

『ほら...今日はお茶だぞ』

『さっきペットボトルのお茶をコップに移してたの見たんだけど』

『し、仕方ねえだろ!?お湯も沸かせないのにお茶なんか淹れられるか!』

『そんなの関係ないわ!!執事たるもの主人の要求に応えなさいよッ!!』

―なんで彼は私の願いをかなえてくれたのだろう?―

『また缶・・・・ってあら?それって...』

『これなら文句ねえだろ!?ガスコンロ&ポット!!これでお茶飲み放題!!さあ、飲むんだ!!』

『・・・・・緑茶じゃなくて紅茶がいい』

『こんのワガママさんめ!!』

―なんで私を支えてくれたんだろう―

『ほらお茶・・・・って何悩んでんだよ?』

『ダメ・・・・どうしても描けない・・・・・もうすぐ期限なのに』

『とりあえず茶ぁ飲んで落ち着けって・・・・』


―なんで傍に居てくれるの?―

『なあなあ?お前なんでアイツと一緒にいるの?』

『あっ?』

ある日、教室の前で聞こえてきた声に耳を傾けた。

『アイツ顔はいいけどすんげぇ我儘な奴らしいじゃん。口悪いし変なことばっか言ってるから女にも友達いねぇし』

『・・・・・』

『お前の事も「執事」って...馬鹿だろ!中二病だろうよ!』

『・・・ウッ・・・ウッ』

『あ、もしかしてお前あれか!?アイツのから『俺は執事だからな』あっ?』

『・・・・』

『俺はあいつの執事だからな。執事がご主人様の世話を焼いて何が悪い?』






「・・・・おい?何泣いてんだよ?」

彼の声がキャンバスを挟んで聞こえ、私はハッとして頭を元に戻した。
油絵が半分ほど塗られたキャンバスの上からにょっきと出ている彼の眼が私をジトっと見ている。
頬がなぜだかむずかゆい。触れてみるとしっとりと濡れており、いつの間にか泣いていたのに私はようやく気付いた。
あの時の言葉......

「ほらよ。お茶」

彼も寒いのか少し震えた声を口から出して、キャンバスの横からぬっとカップを私に差し出す。
大き目の白いマグカップはこの前、彼が私専用に買っていてくれたもの。
「100均のだけどな!!」って言いながら自分用だと黒いマグカップを見せてきたのを覚えている。

ゆっくりと湯気を昇らせるカップを彼から受け取る。
寒さで冷えた指をシビレさせながら、カップの中に詰まった温かさが私の体に伝わっていった。

「なによ...今日はいつもより遅かったじゃない」

「今日はいつもより手ぇ加えてたの。びっくりだぜお前?」

彼の自信たっぷりの声に疑問を持ちながら、私はカップの中に目を落とした。
カップの中には乳白色の液体が入ってた。紅茶じゃない?
カップを口に近付けて中の液体を入れていく。
液体は暖かくて甘く、だけどちょっぴりとアクセントの聞いた刺激と、紅茶の香りが口に残った。

「・・・・・・おいしい」

「だろ?「チャイ」って言ってさ?お茶でググったらさ偶々見つけてよ。せっかくだから作ってみたんだよぉ」

「...い、いつものお茶にすれば、いいほうなんじゃない?今日はいい仕事したじゃない」

「まあ最近はティーパックオンリー続いてたからね。ここらでひと手間加えたらありがたみがわかるっしょ」

「・・・」

私は黙ってチャイをもう一口飲む。
寒い部屋の中でこの甘さと温かさは反則なほどに私の体を温めていった。
彼もキャンバスの後ろにある椅子に座ったようで、チャイを飲んでいる音だけが耳に届いてきた。
彼はいつも描き途中の絵を見ないようにする。
「完成した時に見してよ」といつも言っており、こうやってティータイムをしてる時でも絵の見える場所には来ない。

「執事だからじゃない?」

「はっ?」

突然彼が話しかけてきた私は思わず聞き返した。

「だからさっきの話だよ。なんで執事の名前にセバスチャンが多いかってことだよ」

「それってさっき私が言ってった事?よく覚えてたわね」

「考えてたんだよ」

カップをすする音が聞こえてくる。彼はなんて言った?考えてた?
私も忘れていたあの事を、どうでもいいことを彼は考えてた?
呆れるべきか感心するべきか悩んでいた時、彼の声が聞こえてきた。

「要は...ほら、もうポピュラーになってるってことだよきっと。『ドラクエといえばスライム』、『FFでいえばチョコボ』ってみたいにさ、『執事といえばセバスチャン』ってことなんだよ」

彼の顔は見えないけどどんな顔なのかは予想できる。
きっと「どうよ俺の答え?」みたいにどや顔になってる筈。

「じゃあ、執事といえばセバスチャンなら...私の執事である貴方はセバスチャンなの?」

「いや俺は・・・・・あれっ?執事なのに...セバす...あっ、お茶おかわりいる?」

「話をそらさないでよ」

いつの間にかカップの中のチャイも少なくなっていた。
私は残りのチャイを一気に飲み干した。
彼との答えのない話も、体の中にあった寒さと冷たさもいつの間にか消えてしまっていた。

「そう言えばさ、今回のコンクールってどんな絵を出すんだ?」

彼が私のカップを洗いながら聞いてきた。
私はバケツに浸けていた筆を紙で拭きながら答えた。

「テーマはね、『幸せな時間』ってものなの」

「『幸せな時間』ねぇ~...難しそうだな」

そう言いながら私のカップを机に置き、続けて自分のカップも洗い始めた。
別段、今回の絵は割と簡単であったのだ。なぜなら...

「そうでもないわ・・・もう題名も決まってるし」

「へぇ~そうなんだ。なんてタイトル?」

「見るのは出来上がってからでしょ?早く見たかったら私を気分よく描かせてよ」

パレットの絵具を筆につける。
油絵具特有のにおいが、さっき飲んだチャイの香りを取り込んでいった。

「へいへい。お嬢様頑張ってくださいね」

そういいながらカップを洗う彼を見ながら、私は自分の絵につける題名をボソッと、聞こえないくらい小さな声で呟いた。


「私と執事のお茶会」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

始めてこういう恋愛的なモノにチャレンジしたけど...

正直酷い(笑)

 よし...次頑張ろう
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はじめに!

黒いウサギ

Author:黒いウサギ
黒いウサギですこんにちは♪

職業:
一応大学院で頑張ってます

好きな物:
ノンアルコール飲料が
美味しく感じ始める

パスタ系全般
甘い物は別腹タイプ

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①グラディエーター
②フォレスト・ガンプ
③アメリ
④ミックマック
⑤パラノーマル・アクティビティ

好きな本BEST5
①ジョジョの奇妙な冒険
②ゼロの使い魔
③容疑者Xの献身
④ひつじのうた
⑤銀魂

2012年、24になるウサギですが、
いい年にしたいですホント。
いろいろ込みあう大学院生活ですが、
楽しみつつ頑張っていきます!

PS:
質問、お悩み、ご相談の方は
ドンドンメッセにご連絡下さいな

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